TRIAL(トライアル)というディスカウントスーパーをご存じでしょうか?
様々なものが安く買えて、大型店舗には様々なジャンルのものが売っているため店内を歩いているだけでも楽しいです。
そんなトライアルですが、レジでの支払いは現金か自社の電子マネー(プリペイドカード、スマホ決済)です。
一部の店舗では「クレジットカードが利用できる」と書かれている場合もあるのですが、以下のような注意書きがあります。
- レーンレジでクレジットカードはご利用いただけません
- 3001円以上のお会計時のみ、サービスカウンターにてご利用いただけます
- 食料品を除く
おいおい、堂々としてるなあ。
それ加盟店規約違反だろ。
と思ったのですが、トライアルほどの規模の企業がそんな違反行為をするのでしょうか?
気になったので調べてみました。
クレジットカード加盟店規約とは
クレジットカードが利用できるお店はクレジットカードの加盟店です。その加盟店が守るべきルールが加盟店規約です。以下のものはJCBの例です。
加盟店は、有効なカードを提示した会員に対し信用販売を拒絶し、または現金払いや他社の発行するクレジットカードその他の決済手段の利用を求めてはならないものとします。また、加盟店は、会員に対し、現金払いその他の決済手段を利用する顧客と異なる金額を請求したり、カードの取扱いに本規約に定める以外の制限を設ける等、会員に不利となる差別的取扱いを行わないものとします。
株式会社ジェイシービー JCB加盟店規約 第11条の2
こちらについて、例えば
- クレジットカード手数料を上乗せして請求すること(現金払いよりも高額な請求をすること)
- 特定の時間帯でのみカード利用を拒否すること(「ランチ時間帯はカード不可」など)
- 一定の金額以下のカード利用を拒否すること(「3,000円以下は現金のみ」など)
といったものが禁止されています。そのような事態に遭遇した場合は、カード裏面に記載されているカード発行会社に連絡すると改善される場合があります。
トライアル
TRIAL(トライアル)は株式会社トライアルカンパニーが展開するスーパーです。大小さまざまな規模の店舗があるディスカウントストアであり、最先端の技術を活用した設備が充実しているという特徴があります。
そんなトライアルで使用できる支払い方法は、
- 現金
- トライアル専用のプリペイドカード『トライアルプリペイドカード』
- トライアル専用のスマホ決済アプリ『SU-PAY』
- クレジットカード(条件あり)
となっているのですが、この「クレジットカード(条件あり)」には罠があります。その条件とは
- サービスカウンターでのみ利用可能
- 1回の会計が3,001円以上
- 食料品以外の買い物が対象
ということで、このような条件をつけることは前述の通り加盟店規約に違反している可能性があります。これについてSNS上などでは、カード会社に通報したという報告がいくつか見られますが、改善される様子はありません。不思議ですね。
本当に加盟店規約に違反していないのか?
仮に違反をしていないとしたらその裏には何があるのか、考えてみました。(ただの想像で、根拠があるわけではありません)
特別な契約がある
加盟店規約は全てのクレジットカード加盟店に適用されるものだと考えられますが、その規約の一部にはクレジットカード会社とクレジットカード加盟店の両者の承諾のもとで内容が変わる場合があります。
JCBの加盟店規約の場合では
加盟店は、現金(外国通貨を含む)、商品券、プリペイドカード、印紙、切手、回数券その他有価証券の売買等(電子マネーまたはプリペイドカードのチャージ等を含む)の決済手段として、カードを取扱ってはならないものとします。ただし、両社が個別に承諾した場合にはこの限りではないものとします。
株式会社ジェイシービー JCB加盟店規約 第11条の5
のように書かれています。例えば切手は、一般的には
コンビニエンスストア | 切手はクレジットカードで買えない |
郵便局 | 切手はクレジットカードで買える |
というように、買える場合と買えない場合があります。
加盟店規約の上では「買えない」ことになっているの普通ですが、郵便局は例外的に「買える」ことになっています。これはJCBと郵便局の間でそのような契約内容になっているのだと考えられます。
同様に、クレジットカード会社とトライアルとの間で特別な契約がある場合は、食料品は不可&会計3,001円以上のような条件が付けられるのかもしれません。会社同士の契約ですので契約内容が公開されることはないです。
食料品は利益率が低いからしょうがない
トライアルに限らず、ディスカウントストアは様々な商品が安く売っています。一般的には大量に仕入れることで原価を安くすることができますが、食料品は一つ一つの値段が数十円から数百円程度で利益が小さく、大量に仕入れることによって廃棄ロスが発生するリスクも大きいです。
クレジットカード加盟店は、クレジットカード売上の数%を手数料としてクレジットカード会社に支払います。つまり現金払いの場合よりも経費が多くかかり、お店の利益が減ります。ディスカウントストアの安い食料品の場合は利益がゼロになることもあるかもしれません。
ウチ、食料品をカード払いされると利益ゼロになるんだけど、食料品だけはカード払い断ってもいい?
うーん。それならしょうがない!いいよ!個別に契約しよ!
普通は認められないと思いますが、そのような制限をつけることが合理的と判断される場合は認められるかもしれません。
ルールの抜け穴的なもの
「現金専用レジ」「キャッシュレス専用レジ」「食料品専用レジ」「医薬品専用レジ」「家電専用レジ」のように、支払い手段や商品ジャンルによってレジの場所が異なることはよくあることだと思います。また、階数が複数ある店舗では「フロアごとの精算のお願い」「お会計は各階でお済ませください」といった案内が出ている場合もあります。
お店のレイアウト、方針によっては、扱う商品のジャンルによってレジを分けること・レジの設備の違いで支払い手段が異なることはよくあります。特に変ではない、自然なことです。
それならば、食料品専用レジと食料品以外専用レジが分かれていて、クレジットカード端末が後者のレジにしかないということも別に変ではない自然なこと、かもしれません。
「3,000円以下カード不可の制限」は分からない
ここまでいろいろ考えてきましたが、クレジットカード利用が3,001円以上に制限されていることについてはよく分かりませんでした。一般的には加盟店規約違反です。違反を繰り返して開き直っているのか、違反にはならないような特別な契約が存在するのかどうか、公開されている情報からは判断ができませんでした。
ウチ、ディスカウントストアで利益少ないから、3,000円以下カード払い断ってもいい?
うーん。それならしょうがない!いいよ!
いいのかよ!
利益率が低くて泣く泣くクレジットカード手数料を払っているお店は全国にたくさんあります。個人経営の小規模な店舗でそのような声が上がっていることはニュースでもよく見聞きします。そんな中でトライアルだけ特別扱いを受けているように見えてしまいますが、実際の契約はどうなっているのでしょうか。
まとめ
トライアルでクレジットカード利用に制限が付けられていることについて、それが加盟店規約に違反しているかどうか考察してみました。カード会社との個別契約で制限が認められている可能性はありますが、確実な情報は分かりませんでした。
トライアルホールディングスは2024年3月に東証グロースに上場しました。上場企業であればクレジットカード制限について説明してほしいですね。
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